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第227号 2009.04.25
機関紙227号
- ●「大北に診療所を!」の熱い思いに支えられて大町協立診療所オープン!
- おらほの診療所」へのあゆみ
- 「患者の立場に立つっていう綱領に惚れた!」
- 「また来たい」と思う診療所に
- ●各地で続々 反貧困ネット立ち上がる
- ●ようこそ民医連へ 新入職員のみなさんへちょこっと先輩からのメッセージ
- ●今こそ、民医連をおおいに語り合おう 民医連綱領改定草案の学習・討論運動をはじめます
- 民医連とは何かをよりわかりやすく
- 時代の転換期に新しい団結の旗印を
- ●今回の「医師臨床研修制度」見直しでは、医師不足は解消できません!
ー県連から厚労省へパブリックコメントを送りましたー - ●長野県連初企画 見たい、聞きたい、考えたい、医療現場での診断学 長野中央病院臨床セミナー
- ●東南西北
「大北に診療所を!」の熱い思いに支えられて大町協立診療所オープン!
長野県連13番目の診療所となる「大町協立診療所」が、4月2日にオープンしました。県連第5次長計の実現であると同時に、20年の長きにわたり、「今年こそは、来年こそは」と建設運動に取り組んできた地域の友の会員さんの熱い思いが実を結んだものです。常勤職員は3人。定員15人のデイサービスを併設します。
「おらほの診療所」へのあゆみ
人口3万1000人の大町市。市内唯一の市民病院は内科医の減少もあり、医療の過疎地域。
中信勤医協総会では、毎年「おらほの診療所はいったいいつできるだか?」と言われ続けてきました。08年度には「もう要求を放置できない」と、介護施設建設の展望が示されました。
しかしその後、医師が決まり、事態は急展開。08年10月5日には「大北健康のつどい」を260人の参加で成功させました(写真下)。
11月8日から年末まで7回行われた訪問活動には、中信連絡会の各職場からのべ142人参加し、「若い職員が大勢きてくれて、一緒にまわってもらえる」と喜ばれました。友の会員さん宅の8割を訪問し、「診療所への要望」「友の会へのご意見」を聞きました。訪問活動を通じて、債券・出資金は8158万円集まりました。
「患者の立場に立つっていう綱領に惚れた!」
この息の長い建設運動の陰には、献身的な友の会員さんの姿がありました。今年85歳になる中山久雄さんです。近所の人が具合が悪いといえば、片道30?の松本協立病院まで連れていったり、老後のための貯金のほとんどを、奥さんに内緒で建設資金につぎ込んだりしていたそうです。
「大町・白馬・小谷で安心してかかれる診療所がほしかった。それと、患者の立場に立つっていう『綱領』に惚れていたんだね」と、待ちに待った診療所に感慨もひとしおです。
「また来たい」と思う診療所に
所長の上小澤護(かみこざわまもる)医師は、率直に語ります。
「50歳の節目を迎え、これからの自分を考えたときに、必要とされるところで頑張ろうと所長を決意しました。患者さんが、またここに来たいと思う診療所にしたいです。納得できる医療と各部署でも希望に添えるような親切な対応を心がけたいと思います。地域の医療体制が貧弱なため、医師会からの期待も大きく、民医連だからこそ、より困難な患者さんの受け入れも求められると思います。試されるのはこれからです」
OTの資格をもつ事務長の小林千浩さんは、「地域のケアマネの絶対数が不足していて、まさに介護難民状態です。多種多様の障害の方がみえてびっくりしました。デイサービスのリハビリ要求が高いのもわかります」
初日に20人の患者さんを受け入れた、笹川礼子師長は、「来ていただいてありがとうございます」という言葉が自然に口からこぼれるそうです。さっそく診療所ならではのエピソードもありました。80歳台の不整脈の男性は、検査は異常なしでしたが、診察室から出る時に「女衆(おんなしょう)が倒れて俺も大変だった...」とポツリ。そのひと言で体調不良の背景が推察できました。「1人の患者さんをわかること。その上に民医連らしさをどう加えていくかが課題です」と笹川さん。
大北の地での民医連医療に期待が高まっています。
(取材・宗田まゆ美、福田純子)
各地で続々 反貧困ネット立ち上がる
3月26日、諏訪共立病院SWが中心となり「SOS諏訪ネットワーク」が立ち上がりました。相談会には派遣切り等で仕事を失い生活に困っている外国の方が集まり、なかには食べ物もなく、ぎりぎりの生活をおくっている方もいました。職員から集めた物資(食料品・シャンプー・タオル等の日用品)も渡しました。 相談会後、市議会議員と協力して生活保護の集団申請を行い、2人が受理されたり、雇用保険資格が証明されたりと成果がありました。
相談会は当面毎週木曜に近くの公会所で開催し、健康チェックや物資配布などを行う予定です。
(SW・鮎沢 ゆかり)
3月27日、ハローワーク前で行った相談会には、15人ほどが立ち寄ってくれました。身体症状は、高血圧、糖尿病、不安神経症からと思われる睡眠障害、精神科系疾患の治療が必要と思われる人など、深刻な実態でした。おそらく、定期健診など受ける機会もないのだろうと、「派遣切り、失業、無保険」など、文字だけで理解していたことが、音をたてて崩れるような思いにかられました。
また、相談者からは「だれかに聞いてほしい」という気持ちがひしひしと伝わってきました。地域に出ることの意味を思い知らされた2時間でした。
(松本協立病院総看護師長・赤木富美子)
3月30日、ハローワーク前のビルの1室を借り、8時30分から宣伝、10時?15時まで相談会を実施しました。健康チェックや物資提供などで34人が参加(長野医療生協からは5人)。相談者は14人、健康チェック8人。
年末に派遣切りにあった人が多く、事前宣伝を見たホームレス状態の50歳男性は、その場から生保申請に向かいました。現在、「反貧困、雇用・暮らし・営業を守る長野地域ネットワーク」立ち上げに向け、準備をすすめています。
(石川 徹)
村長の許可を受け、「命を守るステッカー」を公共機関に張らせてもらいました。
ようこそ民医連へ 新入職員のみなさんへちょこっと先輩からのメッセージ
油井さん(長野中央病院・看護師)
新たな生活のスタートに不安と期待、緊張でいっぱいかと思います。しかし、みなさんのまわりには同期の仲間、職場の先輩やたくさんの仲間がいて支えてくれます。まずは今の環境に慣れ、学ぶ姿勢を忘れず、何事も前向きに、失敗してもそれを糧にして日々前進できるよう共に頑張りましょう!!
そして民医連ならではの活動に積極的に参加し、大きく視野を広げていってほしいと思います。
西沢さん(上田生協診療所・看護師)
私自身、民医連1年目は他の病院との違いに戸惑うこともありましたが、まわりのみなさんに支えられてきました。わからない事があれば、どんどん相談してくださいね!私たちはいつも味方です
だんだん1人で仕事を任される時期だと思いますが、ひとりで不安な時は悩まず先輩達に聞いてください。一緒にがんばりましょう!
佐々木さん(塩尻協立病院・事務)
入職して1か月、毎日覚えることが多く大変な時期だと思います。しかしそこを乗り切れば知識や経験が増えた分、自分で判断できるようになったり、患者さんと接する気持ちの余裕ができたりと仕事を楽しめるようになりますよ♪
仕事がつらいときもあると思いますが、民医連にはジャンボリー(青年職員の学習・交流の場)など若い世代がつながりをつくる機会がありますので、ぜひ積極的に参加して、お互いに支え合える仲間を見つけてください☆
宮澤さん(諏訪共立病院・OT)
さまざまな経験ができるこの民医連は、仕事に誇りを持てる環境にあると感じています。こういう世の中だからこそ民医連の力が求められています。刻々と変化する情勢の中で目の前の問題に対して真剣に向き合い、一人ひとりができることは何かを模索し続けることが大切だと思います。
それぞれの職場で知識や経験を高めながら、地域医療に携わる重責や平和の尊さなどを共に学んでいきましょう。
小林さん(上伊那生協病院・看護師長)
長野県民医連にようこそ!!患者さんやスタッフ、仕事にも慣れてきましたか?
まだまだ緊張の日々が続いていると思いますが、1人では悩まず、相談して下さいね。一緒に喜び、一緒に悲しみ、頑張りあえる仲間がいるのが民医連。自分の院所はもちろん、院所以外でもたくさん仲間をつくり、お互いに支えあい、成長しあいながら元気よく、一緒に頑張りましょう!
黒河内さん(健和会病院・介護福祉士)
新入職員の皆様いらっしゃいませ。「あっ」と言う間に4月は過ぎてしまったと思いますが、そろそろ緊張はほぐれてきましたか?
入職して数年も経てば慣れてしまうものです。皆さんの新鮮なパワーでそれぞれの職場に良い刺激や影響を与えてください。
また交流企画などで顔を合わせる機会があると思いますので、そのときは仲良くなりましょう。
今こそ、民医連をおおいに語り合おう 民医連綱領改定草案の学習・討論運動をはじめます
県連事務局長・岩須 靖弘
現綱領はこの半世紀、民医連の羅針盤としてその前進に大きな役割を果たしてきました。 それを前提にしつつ今、時代にふさわしく綱領をバージョンアップしなければなりません。
民医連とは何かをよりわかりやすく
現綱領は、額に入れて掲示できるようにと極力短い文章として作られ、文言に込められた深い意味については、別に解説パンフレット(写真)で説明することになりました。
たとえば民医連の性格規定である「働くひとびとの医療機関」の意味は、パンフでは「日本の支配層に苦しめられているすべての国民」の立場にたつ事業所であると説明しています。つまり解説パンフがあって、はじめて正確な理解ができるので、綱領本文だけを見た人にはさまざまな解釈や誤解を生じさせています。
民医連とは何かを現代的にどう表現するか、不可欠の構成要素である共同組織の位置づけを含め、対外的なわかりやすさを主眼にした検討が求められます。
時代の転換期に新しい団結の旗印を
なぜ今改定か。その背景には今の時代の特徴をどうとらえるかという問題があります。
百年に一度の大激動期、転換期といわれる今、社会のあり方をめぐって、改憲による軍事大国化か、憲法を生かした平和・民主主義・福祉国家かの重大な岐路に直面しています。そのときに、憲法の理念(特に9条と25条)の実現を自らの社会的使命にかかげる民医連が、より多くの人びとと連帯・共同していくためには、外部の人に、特別な注釈がなくても民医連について理解・共感されるわかりやすい綱領を策定する必要があります。
時代の転換期に新しい団結の旗印を確立し、これからの民主的医療・介護運動の希望の旗を打ち立てるために、今こそ、大いに民医連を語り合いましょう。
今回の「医師臨床研修制度」見直しでは、医師不足は解消できません!?県連から厚労省へパブリックコメントを送りました?
熊谷県連会長はパブリックコメントの中で、
- 医師不足や地域偏在の根本原因は『臨床研修制度』ではないので、制度を変更しても解決しない。
- この5年間、研修を受け入れた中小病院は、新卒医師に有意義な研修の場を提供してきた。
- 指導理念やカリキュラム・研修指導医の体制が大事なのであって、研修受け入れ病院を病床数や年間入院患者数などによって制限することはふさわしくない。
- 2年の研修期間を1年に短縮することの根拠が示されていない。
- 医師臨床研修制度の評価、変更に当たっては、学会など医療団体や、病院団体、医師会や患者団体など広い合意形成が必要であり、今回のような結論を急ぐやり方には反対。
- 長野県にとっては制度変更によって、現行よりも研修医受け入れ数が減る恐れがある、と述べました。
県連からは番場研修委員長はじめ、長野中央病院医局一同、個人名でもパブリックコメントが送付されています。
長野県連初企画 見たい、聞きたい、考えたい、医療現場での診断学 長野中央病院臨床セミナー
3月22・23日、「長野県民医連の研修を知ってもらいたい」と、医学部4?6年生対象の第1回長野中央病院臨床セミナーを開催し、6人の医学生が参加しました。(主催:長野中央病院医学生委員会)
22日は参加型企画を中心に行いました。指導医、研修医、学生でグループになり、実際の患者さんに問診、身体診察、検査を行いディスカッションしながら症例をまとめました。その症例をカンファレンスで発表したところ、想像以上に熱気のあるものとなりました。 参加者からは「大学の実習ではあまりできない診断カンファレンスが非常に面白かった」と、充実した実習への満足感が語られました。
23日は、聖マリアンナ医科大学の箕輪良行教授を招いて記念講演、長野中央病院の若手医師によるミニレクチャーを行い、とても好評でした。
(長野中央病院・岩下ちひろ)
■セミナーのスケジュール
3月22日(日) |
開会式 |
アイスブレイク |
病棟実習(1) |
昼食 |
ランチョンセミナー 上島邦彦医師 「実りあるポリクリにするためのワンポイントアドバイス」 |
病棟実習(2) |
症例カンファレンス |
3月23日(月) |
モーニングセミナー 高山定之医師「研修医の生活」 |
記念講演 箕輪良行教授(聖マリアンナ医科大学) 「ジェネラリストの専門家になろう」 |
昼食 |
ランチョンセミナー 番場誉医師 「長野中央病院の研修について」 |
ミニレクチャー 松村真生子医師「初診の肝障害患者をどうみるか」 山越信貴医師「胸部レントゲン・CTの読影」 中山一孝医師「尿所見の見方・考え方」 |
閉会式 |
東南西北
諏訪
保育園の定数が減る!?
諏訪共立病院小児科では、2か月おきに小児科学習会を行っています。3月は、下諏訪町の保育園事情を、職員でもある金井敬子町会議員から聞きました。現在の8園から3園に統合され、750の定員が約500人まで減少される予定だそうです。数ではなく、一人ひとりを大切にした少子化対策が求められます。
中 信
歯科患者の緊急搬送訓練
3月27日、松本協立歯科センターで、歯科治療中に患者が急変した場合を想定した緊急搬送訓練が行われました。3階の治療室から患者を担架にのせて階段を下り、内科看護師とストレッチャーで外来に運ぶまでに5分45秒。搬送経路や連絡手順の見直しを行い、搬送判断から3分以内の到着をめざして訓練を行う予定です。
飯伊
青空をバックに桜を満喫
4月3日、病院駐車場で、回復期リハビリ病棟に入院中の患者さんのお花見を行いました。天気にも恵まれ、歌を歌ったり、満開の桜をバックに記念撮影をしたりしました。「入院中に桜を見られるとは思わなかった。うれしかった」という感想もきかれ、楽しいひとときを過ごすことができました。
長野
はじめての赤ちゃん誕生!
3月13日、長野中央病院産婦人科ではじめての赤ちゃんが誕生しました。かわいい女の子です。08年4月に開設した産婦人科では、秋から冬にかけて病棟や新生児室の施設工事、スタッフの配置などの諸準備を進めてきました。そしてこの3月、体制が整い、第1例目のお産を無事に迎えることができました。
東 信
全職員で介護保険学習会
東信医療生協では全職員を対象に「介護保険改正」の学習会を行い、68人が参加しました。ケアマネジャーの師岡さんからは「主治医意見書」「特記事項」についてわかりやすい説明がありました。認定に納得できないときは「区分変更」「不服審査」請求を行っていこうという発言もありました。
上伊那
青年発!新歓交流会
4月3日、青年委員会主催で新人歓迎交流会を開きました。青年委員会としては初の試みで、全体で60人、新入職員はほぼ全員が参加。立食パーティー形式で、会話の時間を重視しました。自己紹介を忘れるハプニングもありましたが、自発的に行われ、個性が発揮された有意義な交流会になりました。