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長野県民主医療機関連合会

アクセスマップ

〒390-0803
長野県松本市元町2-9-11
民医連会館2F
TEL.0263-36-1390
FAX.0263-33-1229

機関紙:長野県民医連

第284号 2014.06.25

8月10日は長野県知事選挙 「だれになっても変わらない」と思っている人へ 熊谷会長が呼びかけます

長野県政を知り、投票行動で未来を選択しよう!

長野県民連が参加する「明るい県政をつくる県民の会」(「県民の会」)は、7月24日告示、8月10日投票の長野県知事選挙の候補者に、信大農学部名誉教授の野口しゅんぽうさんを擁立しました。熊谷嘉隆県連会長に私たちにとっての県知事選挙の大切さを聞きました。

明るい県政をつくる県民の会

県政を身近に感じないという
人が多いように思いますが。

実は、医療・介護者にとって、市町村の政治より大変関係が深く、影響が大きいのが県政なのです。
地域医療計画を通じて、国の指導で診療圏のベッド数を決めるのが長野県です。昨年の地域医療計画では、長野県の10分の9の診療圏がベッド過剰地域とされました。
待機者が増えている特別養護老人ホームの地域枠(地域ごとの入所数)を決めるのも長野県です。地域ごとの設備目標が低いので、特養待機者は毎年増え続けています。
後期高齢者医療保険では、保険料などを決める上で県は重要な役割を果たしています。
このように、住民の社会保障に関わる項目は県の専決事項なのです。
20年以上続く国の社会保障の抑制政策を、今の長野県政はベッド数の抑制や介護施設数抑制で具体化しているのです。

県連理事会であいさつする野口さん。その若々しさに驚きの声があがった。
県連理事会であいさつする野口さん。
その若々しさに驚きの声があがった。

"行動する科学者・野口しゅんぽうさん"
を紹介するリーフ(「県民の会」発行)

県知事の姿勢で
違うのでしょうか?

国の悪政から県民を守り、県独自の制度や施設を作ることができるかどうかは、行政の態度・知事の考えにかかっています。
国の社会保障制度が後退する中で、多くの市町村は住民の生活を守るために努力してきました。
その良い例が子どもの医療費窓口無料化制度です。全国的には長野県内の市町村の制度は大変優れたものですが、阿部県知事はそれにあぐらをかいて、都道府県レベルでは全国最低10県の中に入る貧弱な制度にとどめています。
世界で最も長寿で、高齢化と少子化が進む長野県で、医療・介護施設や子どもの医療への支援と施策は、県政の中で最も重視されて良いはずです。

医療・福祉の切り捨ては、
自民党政治と同じですね。

田中県政で無駄な公共事業を中止して減り始めた県の借金。阿部県政で浅川ダム建設が進み、借金は県の年間予算額の2倍にまで膨れ上がっています。10年前県民が決別した無駄な公共事業と借金県政が復活しているのです。
社会保障の分野でも、国の施策をそのまま県政へ持ち込むと公言してはばからない「国のいいなり代官」です。安倍と阿部、字は違っても、やっていることは同じです。

県政を見る「尺度」は
なんでしょうか?

安倍内閣の国民いじめ・民主主義破壊の軍国政治に異議を唱えない「代官政治」では、県民の代表とは言えません。今回の選挙は次の3つが基準になると思います。
❶安倍内閣の暴走を許すのか、許さないのか。
❷利権政治の復活か、県民のくらしと福祉を第一にする県政か。
❸長野県がオール与党相乗り県政から抜け出し、県民の声で動く県政へ変わるのか。

野口候補は、どんな県政を
考えていますか?

次の「8つの提案」を掲げています。
❶だれもが安心してくらせる介護、医療、福祉の充実
❷こどもが主人公の教育
❸若者と女性が希望をもって人間らしく働ける雇用と仕事
❹安心して続けられる農業、林業の支援と、中小零細企業・地域商店街の応援
❺日本一子育てしやすい県をめざして
❻信州の魅力を引き出す観光資源の整備と、災害に強い郷土づくり
❼公共事業は、生活密着型を優先し、雇用の確保と地元の業者を応援
❽原発ゼロへ、長野県を自然エネルギー先進県に

県連職員に
メッセージを。

近年、投票率が半分という選挙がありますが、1票の意思表示は民主主義を守る何より大切な行動です。まず、「県民の会の提案」を良く学び、私たち県連職員の願いと現在の長野県政を見比べてみましょう。そして必ず投票へ行き、未来の長野県に対する県民としての責任をはたしましょう。

【野口しゅんぽうさんプロフィール】

1942年(昭和17年)福岡県生まれ
九州大学大学院を経て農学博士
01~03年信州大学農学部長。02〜05年田中県政時、公共事業評価監視委員会の委員長として各地のダム建設などをチェック。
現在:信州大学名誉教授 上伊那郡南箕輪村在住
http://www.noguchisyunpou.com twitter facebook

*県民の会=くらし、教育、医療などに関わる県民の切実な要求をもちより、それらを実現する県政を目的に結成。現在、県労連、民商、農民連、新日本婦人の会、共産党、民医連など37団体が参加

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メッセージ付きを1枚50円で販売中。

問い合わせは各事業所の社保委員又は県連事務局まで

阿部長野県知事に「窓口無料」の願い届かず 論点すりかえで懇談は平行線

福祉医療給付制度の改善をすすめる会(すすめる会)は、5月20日、長野県庁で阿部守一長野県知事に7万3947筆の署名を渡し、懇談しました。懇談には県知事と清水剛一健康福祉政策課長、すすめる会の構成団体から23人、そのうち長野県民医連からは3人が参加しました。

7万3947筆の署名を提出
7万3947筆の署名を提出

論点がすり替わる?

懇談は、「子どもと障がい者の医療費を窓口で無料に」という内容で、和田浩会長があいさつし、書面で要望書を渡したにもかかわらず、また、進行役の湯浅健夫さん(すすめる会事務局長)が、「懇談の目的は支払い方法を変えて欲しいという点」「支払い方法として窓口で一旦払うことで県民が苦労している」と何回も伝えるのに、県知事の答えはかみ合いませんでした。
知事の答弁は「窓口無料」ではなく、医療費助成の対象範囲に論点がすり替わっていました。「対象年齢の範囲については拡大しなくてもいいんですか?ご理解いただいているという事ですか?」「子どもの医療費助成は所得制限なしで実施しているでしょう」「雇用が安定している公務員や高額所得者にも県費で負担しているのはいかがなものかと思っているんです」などと発言し、最後まで私たちの声を聞こうとはしませんでした。

要望を伝える「よくする会」のみなさん
要望を伝える「よくする会」のみなさん
阿部県知事と健康福祉政策課長
阿部県知事と健康福祉政策課長

なぜ「窓口無料」の願いが届かない

すすめる会の和田浩会長(健和会病院副院長 小児科)は懇談について語ります。
「『医療費はいずれ返ってくるのだからそう困らないのでは』と考えている人が多いと思いますが、実際にお母さんたちの話を聞くと『お金のない時は受診を控える』と言う親御さんは少なくありません。多くの場合はそれでも自然に治っていくけれど、重症になることだってありうるのです。病気の時にお財布の心配をしないでかかれる窓口無料にすることは、優先順位の高い政策課題です。そのあたりを知事には理解してもらえなかったことが残念です。」

7万3947筆に託された願いは県知事選で

7万3947筆の署名は「窓口無料」を求めた声でした。私たちの願いは阿部県知事に受け止めてもらうことはできませんでした。8月には知事選挙があります。子どもと障がい者が窓口で支払う金額を心配せず、安心していつでも医療が受けられるよう、県政に選択を迫っていきましょう。

長野県近隣の8県のうち7県が窓口無料(図) これらの窓口無料化実施県では、国からの国保補助金が不当な減額をされてもなお窓口無料化を実施しています。
(長野県社会保障推進協議会発行チラシより)

「すすめる会」から4人が「窓口無料」の重要さを次々に訴えましたが...

  • 署名を集める中で、「窓口無料にしていない長野県はおかしいよね」という声を多く聞いています。(知事にさえぎられ最後まで話せず)[新日本婦人の会・高橋夏美さん]
  • 学校の歯科健診後に治療に来ない児童生徒の調査を始めました。いったん窓口で払う数千円が払えないんです。[保険医協会・鈴木信光会長]
  • 精神障がい者は偏見や誤解があり、就労すること自体が困難。生活困窮者が多く、医者にかかることも躊躇しています。[ポプラの会当事者]
  • 養護学校に看護師を配置していただいたが費用は実費。何度も入院し、学校にも医療にもお金がかかる。兄弟も病気になる。いったん払う医療費が負担です。[24時間呼吸器をつけている小6の子の母親]

(発言は概要です) 

東南西北

東 信

第18回健康のつどい開催

第18回健康のつどい開催

6月7日、第18回川西生協診療所「健康のつどい」が川西防災センターで行われました。元気で粋な「岡城(おかじょう)夢太鼓」の皆さんの演奏で始まり(写真)、吉野友康先生による「胆のうの病気ついて」の講演が行われました。組合員さんによる余興、職員の寸劇も見ごたえがあり大盛況でした。

上伊那

新しい事業に挑戦!

新しい事業に挑戦!

7月1日に開所する「生協総合ケアセンターいな」は、地域の医療・福祉・介護を支える複合的なサービスを行います。なかでも、障がいがある方の社会復帰や働く場として多機能型(就労継続B型・機能訓練)は初めての挑戦です。定員は20人。機能訓練は県内で2か所目、南信地域では初めての事業所です。

長 野

4西病棟1周年

4西病棟1周年

長野中央病院4西病棟は、総合診療病棟と研修医の基幹病棟です。5月30日に開設1周年報告会が開かれ、70人余が参加しました。報告では、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士が専門性を発揮し、多職種連携で関わった2事例を発表。また、MSWの視点から1年間の診療統計発表も行われました。

諏 訪

ひなたぼっこ散歩

ひなたぼっこ散歩

ひなたぼっこでは、毎朝、入居者さん数人と施設の周辺を散歩しています。遠くを見れば雄大に広がる八ヶ岳連峰、下を見れば赤つめ草が風にゆれるのを横目に、ゆっくり、おしゃべりをしながら歩きます。季節の移ろいを感じながら、新緑の香りを身体いっぱいに取り込んで、自然から元気をもらっています。

中 信

靖国神社に行ってきました

靖国神社に行ってきました

5月18日、松本協立病院9条の会と中信民医労青年部主催で「靖国学習ツアー」を実施。東京平和委員会のガイドで、靖国神社と遊就館を見学しました。天皇のために戦って命を落とした「英霊」を祀り、戦争を美化し肯定する内容に怒りが込み上げました。「真実の裏側」を見極めるために実際に行く事の大切さを感じました。

飯 伊

鍵はみんなの団結力

鍵はみんなの団結力

5月17日、第19回かやの木祭りが開催され、120余人が来場しました。13の模擬店、「なでし鼓」太鼓演奏、地元中村地区の獅子舞、フラダンスなど、どれも華やか。診療所職員による演劇も大好評でした。成功の鍵は地域の方々と職員の団結力でした。来年はいよいよ20周年、さらにがんばります!

ともにがんばりましょう! 部長が語る第31期の抱負

県連第31回総会にもとづき各分野で意気高い運動が始まっています。激変・激突の情勢のなか、民医連の存在意義を輝かせ、運動をリードする8人の部長に抱負を寄せてもらいました。

医学部 清水 信明 上伊那生協病院・院長

県連の各事業所は地域の医療と介護においてなくてはならない存在となっています。役割を果たすためには医師の確保と養成が最重点課題です。奨学生確保、研修医受入れフルマッチ、初期研修と後期研修の充実が基本です。総合医と臓器別専門医のバランスの良い育成をめざします。従来の医師委員会を医師医療委員会に改名して県連内の医師の顔が見える情報提供を行いつつ、学術活動・医療活動・後期研修など医師として楽しくやりがいのある活動をめざします。

看護婦 宗田 まつ美 中信医協 看護部長

県連職員の4割を占める看護職は31期から新たに看護部会として再スタートを切りました。組織図では急速に拡大した介護職が部会となり、地域包括ケア時代を牽引していく「訪問看護ステーション所長会議」が加わりました。私たちは全日本民医連から提起された「民医連の看護のものさし」を身にまとい、憲法が生きる平和な社会をめざして、民医連事業所以外の方たちとも手を携え前進していきます。最初の仕事は「県連看護政策」の完成です。

介護職部 手塚 健太郎 協立福祉会・教育担当士長

前期に全日本民医連から、介護職の組織化が全県に提起され、長野県連でも検討を進められ、今期から介護職部会が設置されました。医療・介護が脅かされ、それぞれの役割が変えられようとしています。専門職として多面的に学び考え行動し、私達がめざす介護の実現に向け、1000人を超える長野県連介護職員集団の声と力、アイデアを大切に、微力ではありますが前進していきたいと考えています。

医療活動部 佐野 達夫 松本協立病院・副院長

激変・激突の時代に、医療活動部長となりました。貧困を背景とした健康格差が拡がるなか、命の砦としての民医連院所の役割は重要です。これからも信頼に足る存在であるためには、日々の医療活動が時代の進歩を取り入れたものでなければなりません。医療活動部として、医療安全、倫理問題などの7つの委員会と協力し、多彩な実践の交流も進め、長野県民医連の医療の質の向上が図れるよう活動していきたいと考えています。

介護・福祉活動部 塩原 秀治 協立福祉会・事務局長

今期から介護職部会が立ち上がりました。介護・福祉部も連携し、民医連らしい「地域包括ケア」実現のために、県連の介護事業をますます発展させなければなりません。激突の時代、介護事業もたいへん厳しい状況が予想されます。そうしたなか、「介護保険をよくする信州の会」が結成されました。今年は、県連の介護ウェーブも新たな段階を迎えます。介護改善運動の「架け橋」として共同組識の皆さんと共に、頑張り時です。

経営部 清水 晃 南信医協・専務理事

2025年モデルまであと10年です。その間に診療・介護報酬改定がありますが、その改定対応はもとより、当面の対応のみならず、中長期の医療構想と経営計画づくりをしっかり行っていく必要があります。そのために経営検討会(医療・介護分野)を通じ、経験交流や情報交換を行っていきたいと思います。過去に比して最も厳しい情勢下ですが、地域の期待と信頼に応えるべく、経営を守り抜く決意を確認したいと思います。

県民運動・まちづくり部 谷口 亮一 長野医療生協・専務理事

社保反核平和委員会と共同組織委員会を統括し、運動への職員と共同組織の参加を意識してきました。社会保障改悪に対しては、特に現場の実態から闘いを組み立てることを重視し、生活保護実態調査などに取り組みました。闘いを通じて職員の成長を図るため、引き続き職員育成部とも協力しながら運動を強めていきたいと思います。県政に対しては県や県議団との懇談を位置づけ、理事会に対する政策提案の機能も発揮できるよう頑張りたいと思います。

職員育成部 牧内 智則 健和会・専務理事

事業の拡大が強まる中で県連職員数も増えました。その中で、職員育成は今後の組織の発展に大きなカギとなる課題です。新自由主義的な政策が横行し、社会保障が切り詰められ、自己責任論がはびこる社会において、我々民医連の掲げる綱領や理念にどれだけ団結できるかが、これから大きく問われます。そのためにも、民医連に結集する職員の養成にしっかり取り組んでいきたいと思います。

注:「介護職部会」と「介護・福祉活動部会」の役割:「介護職部会」は、急増した介護職員が民医連綱領に確信を持ち、担い手となることを保証するため看介護部会から独立し、看護部と介護職部に分かれました。「介護・福祉活動部会」は介護職部と連携しつつ、主に経営や運動の課題を担います。

NO WAR! 平和憲法守る私の声 12

平澤 多津子(社会医療法人健和会 総務部長)

私が平和を意識したのは高校生の頃。それはベトナム戦争が泥沼に陥り、また、沖縄返還闘争が激化していた時期です。社会科の先生はもとより英語の先生からも「平和や戦争の不条理さや日本国憲法のすばらしさ」をお聞きしました。「二度と教え子達を戦争に送らない」との強い思いの中で行われたこの授業、私にとってとても興味深く、目を輝かせて聞き入っていたと思います。
アジア諸国2千万人の人々と日本の300万人以上の人たちが犠牲になった先の大戦、人類が始めて経験した原爆による無差別殺戮、勿論私はその戦争を体験していません。しかし、親たちは長野空襲で家の壁に銃弾がめり込み恐ろしかったこと、爆撃が終わるまで冠着山のトンネルで汽車と共に閉じ込められていたこと、ひもじかったこと、赤紙を書いたこと、もう二度と同じ経験はしたくないと言います。
沖縄ひめゆり学徒隊の証言、知覧特攻平和会館の青年達の写真や手紙、無言館の絵画、そして広島の平和資料館、訪れる毎に未来に希望を持った若者達の声や思いが胸にこみ上げ、涙が止まりませんでした。また、善光寺の仁王門横にいた物乞いをする傷痍軍人達の姿も目に焼き付いています。
いのちを奪った侵略戦争への深い反省のもとに誕生した日本国憲法には、平和主義と国民が主権であること、そして基本的人権が守られることが定められています。そして第9条では、「戦争の放棄・戦力の不保持・交戦権の否認」を宣言しています。この間、戦争という名のもとに人を殺すことを国民の誰もが強いられなかったのは、第9条があったからです。しかし、安倍政権は歴史に学ぶことなく、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更を強行しようとしています。仲間の輪を広げ、このきな臭い匂いは消していくしかありません。

職場のケア向上と対象者に向かう姿勢に大きな成果

2013年度 県連看介護研究講座発表会を終えて 運営委員会 山本しのぶ

長野県民医連は2013年に続き、2014年1~3月、加盟事業所の患者・利用者のうち生活保護を受給している人を対象に実態調査を実施。生保基準引き下げ、4月からの消費税8%増税の影響などを、職員のべ400人が直接聞き取り224人から回答を得ました。
5月29日に長野県庁で行われた記者会見は、NHK、民放4社、新聞5紙が報道。同席した大学の専門家、反貧困ネットの弁護士、当事者からの発言とあわせて調査結果が注目されました。

2013年度 県連看介護研究講座発表会
記者会見に臨む(左から)岩須県連事務局長、鮎澤SW、鈴木忠義長野大学准教授、高木博史岐阜経済大学准教授、村上晃長野中央法律事務所弁護士、後列は各法人SWのみなさん

社会的疎外の実態知らせる

「私は目に見えるすべてのものを失いました。残ったのは命だけでした」。
記者会見に参加してくれた50代のAさんは、2年前まで管理職を務める会社員でした。糖尿病が悪化し入退院を繰り返す中でリストラ。住宅ローンの残る自宅と家族を失い、親戚、友人すべての交流を絶ちました。食事を含めすべてを切り詰めてもご祝儀が用意できず、招待された結婚式にも行けなかったと言います。
「朝パンを食べ、昼には33円のうどん、夜は88円のレトルトカレー。身体によくないことはわかっていても仕方がない」というAさんの言葉は、実態調査に応えてくれた224人の生活を代弁するものでした。
一日3回食事を取れていない人は36%、鮎澤ゆかりSWは「嗜好の問題ではなく、これが毎日続く実態を知ってほしい」と話します。
鈴木忠義長野大学准教授は「この調査によって、生活保護受給後も衣食住をはじめとして生活のあらゆる面で支出の抑制を強いられ、経済的な面で自立に向けた余力を残すことがむずかしい状況」と指摘しました。

調査を機に広がる連携

講評をしてくださった長野県看護大学の有賀智也助教と松澤有夏助教

今回の調査は、設問・まとめにあたり、大学の専門家、反貧困ネット信州関係者からアドバイスを受けながら進めたこと、多くの職員参加を呼びかけたことが大きな特徴でした。
そのつながりから、「愛媛民医連と実態調査を検討したいので報告書を送ってほしい」(愛媛大学准教授)、「日弁連の貧困問題研究会で参考にしたい」(弁護士)、「公的扶助研究会で報告を」という要請が続いています。
「生活保護によって命はつないだけれど、一日誰とも話さず、夜は早々に寝てしまう生活の中で、人間をやめたいと思ったこともありました。でも今は、SOSネットの皆さんが作ってくれたたまり場で、仲間と食事を作り、語れます。新しい家族を得た思いです」(Aさん)。調査に参加した職員の意識も変化し、実態を社会に伝えるだけにとどまらない「人間としての尊厳を取り戻す」支援に関わり始めています。

(県連事務局次長・湯浅ちなみ)

円グラフ ●町内会や老人クラブ、地域・学校行事への参加 ●冠婚葬祭への参加 ●年間の被服買い物

(調査結果から一部抜粋) 調査前日の食事
性別 年代 疾患
男性
50代
糖尿病・末期腎不全・腸閉塞
なし
うどん
ご飯・野菜炒め・味噌汁
女性 80代 高血圧・胃潰瘍・白内障 パン・牛乳 焼き餅
男性 60代 高血圧 なし なし お粥・梅干3・カップ焼きそば・お茶

長野県連 ぐるっと事業所めぐり16

上伊那 ヘルパーステーションあおば

ヘルパーステーションあおば
訪問先で
訪問先で

2003年3月に上伊那医療生協2か所目のヘルパーステーションとして開設されました。民間アパートを借りてのスタートでしたが、今年7月から大きなケアセンターの中の一事業所となります。常勤3人、登録ヘルパー15人で、月約1100件を訪問しています。
利用者さんは百人百様。常に、目配り、気配り、笑顔を忘れません。利用者さんの笑顔が私たちのエネルギーです。登録ヘルパーさんの中には10年以上のベテランも数名いて、利用者さんから「経験豊富でいろいろ教えてもらえるのよ」と頼りにされています。
『住み慣れた家で、自分らしく生きていく』そんな利用者さんの思いに寄り添って支援していきたいと、早朝、夜間帯も相談に応じるなど、日々みんなで頑張っています。

(所長・井口希代子)


  • 所在地
  • 〒396-0014 伊那市狐島3895番地
    生協総合ケアセンターいな内
  • 連絡先
  • TEL. 0265-77-2226
    Fax. 0265-77-2456

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