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第291号 2015.02.25
コントロールされているのは情報!
県連福島支援委員会の福島視察に参加して 県連福島支援委員会委員長 松本協立病院小児科・医師 鈴木 直美
長野県民医連福島支援委員会は、福島の状況を知るための取り組みとして、現地の方を招いた講演会などを行ってきました。
しかし、やはり一度は福島に行き、自分の目で状況を見なければいけないという意見が多く、昨年12月20・21日に15人が参加して福島視察を行いました。
原発労働者の実態も赤裸々に
12月20日朝7時に松本を出発。マイクロバスに乗り、5時間半程で福島県いわき市に到着しました。
浜通り医療生協に行き、いわき市市会議員の渡辺博之さんの「原発事故はなぜ収束しないのか〜労働現場の実態と改善のための運動〜」と題した講演を聞きました。普段報道されることのない、原発労働者の実態を聞き、考えさせられました。「コントロールされているのは、汚染水ではなく"情報"である」という言葉が、強く印象に残りました。
また、浜通り医療生協で購入したFTF(Fast Track Fibre...全身のガンマ線を数分で測定できる、簡易測定器)を実際に体験しました。 夜は、宿舎で渡辺さんや浜通り医療生協の理事長さんたちと交流会を行いました。ざっくばらんに皆さんの思いを聞くことができ、良かったと思います。
津波からの復興もいまだ
21日は朝からマイクロバスで現地視察を行いました。
浜通り医療生協組織部の工藤史雄さんに案内して頂き、いわき市から北上。避難指示が解除された広野町は、傍目にはほとんど日常生活が戻っているようでしたが、避難解除準備区域の楢葉町に入ると、まだ津波の爪痕が多く残っており、津波の復興も進められない現状を目の当たりにしました。
町内に避難解除準備区域と居住制限区域・帰還困難区域が混在する富岡町に至っては、生活の気配も感じられませんでした。バスが進んでいくに従って明らかに測定線量が増加し、除染も住宅や道路の周辺はされているものの、山の中は除染されていないとのことで、地域が元に戻るためには並々ならない労力が必要だろうと感じました。
3月7日の県連学運交では、「福島は今」part4を、特別分科会として行います。渡辺さんの講演と福島視察の報告、連絡会からの活動報告を企画しています。皆さんの参加をお待ちしています。
原発労働者は地元の業者が派遣し、そのほとんどが道具の名前も知らない素人。生活困窮者が多く、危険を承知で働かざるを得ないが、危険手当は中間業者に多重に搾取され労働者の手元には届かない。搾取されたお金は政治家や地元有力者に分配され、原発推進の体制が作られている。その構造が本質的問題である。
2月1日、「脱原発信州ネットワーク松本」が主催。会場には高校生や赤ちゃん連れのお母さんなど、幅広い年代の約400人が参加。脱原発や辺野古基地建設反対の運動をフットワーク軽く実践する山本さんの話に耳を傾けました。
(編集委員・松井おりえ)
熊谷県連会長にSNK48が突撃インタビュー‼
昨年の県知事選挙の時に結成された、健和会病院職員有志のSNK48(選挙48)。新しい年を迎えて暮らしも政治も大きく動いています。昨年末の総選挙から今年の統一地方選挙まで展望しながら、熊谷嘉隆県連会長にズバリ!聞きました。
昨年の総選挙の結果をどうみますか?
一つは小選挙区制が民意を反映しない選挙制度であることが良くわかる結果でした。比例での自民党の支持率は30%でしたが、議席数は単独で6割を超えました。小選挙区制による虚構の議席数です。
二つ目は、投票率の低さです。棄権する方が国民の約半分にもなります。民意が反映されない小選挙区制度では、国民の政治離れが進み日本の民主主義は形だけで死んでしまいます。
マスコミの報道も自民党の圧勝が強調される報道ばかりで、事実を正しく伝えないということで、今のマスコミの政権に擦り寄る露骨な姿勢が問題でした。
小選挙区制度は1994年に政党助成金制度と一緒に作られました。リクルート事件があり大企業からの献金で政治が歪められているとして、税金で政党の活動を支えるという制度です。しかし、政党というのは、国民の中で広く運動をして、支持者からのカンパで運営するのが世界の常識です。年末になると政党助成金をもらうために、離合集散が行われています。政治の堕落です。こんな制度では、何をやっても変わらないという世論が大きくなっても不思議ではないです。
昨年の総選挙後、通常国会もはじまったわけですが、安倍政権をどうみますか?
国内外のマスコミから、安倍政権は日本・アジア・世界にとって、戦後最も危険な政権と言われています。今の世界は、第二次世界大戦で日本が侵略戦争をしたことを互いに認め合うことで出発していますが、安倍政権は日本の侵略戦争の事実を否定しています。
最近のイスラム国の問題も安倍首相の言動で事態は悪化しました。この地域では日本は戦争に加わらないことで信頼がありました。中東地域で人道支援を行う日本の団体も、そうしたことで危険が少なかったのですが、首相の言動で、日本人の人道支援活動もかなり危険で困難になりました。
彼は政治家となってから、祖父でA級戦犯だった岸信介の姿を追いかけています。ある意味恐ろしい時代錯誤の思想をもった政治家です。今年は戦争を進める国づくりか、戦争をしない平和な日本を作るのかの大きな節目になる年です。
今年は介護報酬改悪、来年は医療制度改悪がありますね?
今回の介護保険改定の問題は、軽度介護認定者のサービス利用を抑制することです。
地域では独居高齢者が増えていますが、ヘルパーさんと話すことや、デイサービスへ行くことを楽しみにしています。人と人との繋がりがなくなると認知機能が低下し、引きこもりが増えて、心身ともに健康が損なわれます。高齢化社会で健康に暮らすためには、軽度介護認定者を支えるしっかりした介護制度の維持が非常に大切です。
今年は、地域の皆さんと一緒に必要な医療と介護が受けられる制度を守るために、運動を大きくする年になります。
一斉地方選挙に先駆けて、沖縄・佐賀・滋賀県知事選がありました。
民意が反映された結果だと思いますが、国と地方の温度差があるように思いますが?
辺野古新基地建設反対、原発の再稼働反対、TPPに反対し農協と日本の農業を守る。安倍政権の重要な政策に対し、地方の知事選挙ではっきり「NO」が宣告されたと思います。小選挙区制による虚構の議席数とは大違いです。
今年は長野県議会選挙がありますが、私は、国の社会保障制度が後退する中で、長野県政へ県民の声を届ける代表を選ぶ大切な選挙と考えています。選挙を通じて引き続き福祉医療の窓口無料化の運動を進める事が大切と思いますが、職員も含めて地域の方に投票に行ってもらう事も大切だと思います。長野県民医連として政策と指標をはっきりさせて運動しましょう。
職員へメッセージをお願いします。
民医連職員へのアンケートでは、自分が変わったと自覚する時は大きく2つあるそうです。ひとつは皆で力を合わせて物事を成し遂げた時。二つ目は自己学習、独習で新しい知識を得た時です。民医連の総会や評議員会の難しい文章を読み解く事は大変ですが、民医連ならではの学ぶ機会です。皆さんの努力は素晴らしいことだと思います。
今年はとても重要な年です。安倍政権の暴走を止める運動を大きくしていきましょう。皆さんの協力をお願いします。
東南西北
中 信
「お昼休み外来」を開設
昨年11月4日から一般内科の「お昼休み外来」を開始。休診時間だった12〜15時も診療を行い、ビジネスマンや近くの専門学校生などが昼休みなどを利用してかかれるようにというものです。広報も強化し、地元新聞にも掲載されました。午後の15〜17時に集中していた患者さんが分散し、待ち時間の短縮の効果もあります。
飯 伊
魅せる新年会
1月24日に行われた飯伊民医連新年会に参加しました。今回、私たち事務部は余興をやるということで一生懸命練習をしてきました。事務部の女性達は美しいキャッツアイのダンス、男性はアナと雪の女王の激しいダンスを披露しました。練習の成果を発揮して、会場全体を盛り上げることができました。
東 信
「陽だまり相談会」餅つき大会
昨年末の20日に、旧上田市民会館前広場で反貧困「陽だまりネット」の64回目の相談会と餅つき大会が開かれました。ボランティアも含め100人以上が集まり、上田市からみかん1箱の差し入れや、個人や団体からの食料や衣料品の提供も。診療所からの参加者は健康チェックを行い、中には高血圧の方もいました。
上伊那
「いな金行動」100回目
「さよなら原発上伊那の会」による毎週金曜日18時からの「いな金行動」が1月23日に100回目を迎えました。首相官邸前や全国各地の運動に刺激され一昨年の3月から開始、去年の大雪の日には2人...ということもありました。「継続は力」相手が強引に再稼働に進もうとするなか、手をゆるめるわけにはいきません。
長 野
羊が何匹?
送迎車のラジオから「松ぼっくりで羊」と聞こえました。作業の神様が降りてきた瞬間でした。「私のだけなんで大きくなるの?」「家に未年生まれが2人いるよ」と話しながら接着剤が乾くのも待ち遠しく過ごしました。長野中央介護センターつるが・オアシスの「OK牧場」(利用者さん命名)に元気に放牧されています。
諏 訪
みんなで餅つき
小規模多機能型ケアぬくもりでは年の瀬の恒例行事、餅つきを行いました。昔を懐かしみながらのほっこり顔、お互いに声を掛けあっての気合い顔、日々の生活とは少し違った一面を感じる事ができました。行事においては、そんな嬉しい出会いがあります。僕自身いつも楽しみにしています。
論議を深め、民医連医療を語り合った県連医師総会
昨年12月13・14日、松本花月ホテルで2014年度医師総会が開催され、医師を中心に103人が参加しました。
民医連らしい「新専門医制度」を
全日本民医連医師部長の増田剛医師は「新専門医制度時代の民医連の医師養成」というテーマで講演し、「国がすすめる地域包括ケアシステムは、患者を医療から追い出し、介護は切り捨て、総医療費を抑制するという側面を持ちながら病院の機能分化を進めようとしている。この問題の本質をしっかり捉え、各病院で民医連らしさにこだわった新専門医制度への対応を早急に準備しよう」と提起しました。
病院から在宅まで展望した「総合診療医」、水準の高い総合性を持った「内科専門医」はもちろん、領域別専門医の養成も可能な限り挑戦しよう、特にこの制度に該当する医学生の不安に応えられるように早急に準備をすすめようなど、論議が深められました。
最後のよりどころとして
がん研有明病院の内視鏡診療部に専門研修に行った冨田明彦医師の「胃ESD症例を中心に多くを学び充実した研修だったが、松本協立病院へ帰任後寝たきり患者さんがいてほっとした」との発言、定年を迎える中野友貴医師の「入職当時、最後のよりどころとして運ばれてくる脳卒中患者をどうすることもできなかったからリハビリ医療を始めた。すべて手さぐりの挑戦だった」など、民医連らしさに触れることのできた医師総会でした。
(県連医師部・藤沢 薫)
NO WAR! 平和憲法守る私の声 17
渡辺 昭夫(川西生協診療所・所長)
10月25日は太平洋戦争の末期1944年(昭和19年)に、フィリピンのルソン島の基地よりアメリカの艦隊に対して、初めて特攻機が飛び立った日です。
10月25日のテレビ報道で、ルソン島の人々が犠牲になった日本の若者のその当時の心境を証言し、慰霊の塔を建て、むごい戦争は決してしてはならないと訴えていました。
元気で生きて、これから世の中で精いっぱい自分の能力を開花させたい若者たちの思いを無残に断ち切ってしまうのが戦争です。
そして、こんな思いを二度としてはならないとの思いで作られたのが日本国憲法です。ところが安倍首相らは戦後レジュームからの脱却と称し、今の憲法は時代に合わないから変えるなどと主張して、昨年の国会で特定秘密保護法の議決や、集団的自衛権の行使を閣議決定するなど、日本国憲法の根本理念を変質させ、日本が戦争できる国へと変えようとしています。
戦後69年間戦争が無かったおかげで、1964年(昭和39年)の東京オリンピックも成功し、経済的にも発展してきました。日本近代史の中でこれほど永く平和であったことは、歴史的に貴重なことです。
私も現在69歳、自分のこれまでの生涯で戦争に合わずに、自分の生きたい生き方が出来たことは本当に幸せだったと思っています。
権力をもつ者は暴走するのが世の常です。NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」でも、物分かりの良かったあの秀吉が一変し、無謀な朝鮮出兵へと突き進んで多くの人命を犠牲にしました。
今の憲法は国民の権利を守り、権力者の暴走を縛るためのものです。いったい平和主義と国民主義を守る憲法のどこが古くて時代遅れと言うのでしょうか?!
今こそ、この平和憲法を変質させようとする人々の企てを見抜き、日本国憲法を守るために国民1人1人が賢くならなければいけないと思います。
2分で読めるミニ学習
2017年度から新たな専門医制度が始まると聞きましたが?
専門医とは「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師」とされています。
今までは50を超える学会が独自の基準で専門医を認定した為、専門医の質は学会毎違いがありました。2017年開始の新専門医制度では、新たに設置された「日本専門医認定機構」(以下「機構」)が専門医認定を行なう為、客観的に質が保証されるといわれています。
2004年に臨床研修指定病院で2年間の初期研修が義務化された時、民医連は臨床研修病院の指定を受けるため大変な努力をしました。
今回の新専門医制度に向けても沢山のハードルがあります。専門医を養成するために必要な指導医数、経験できる症例数や手技等の条件をクリアーした病院が「機構」に養成プログラムを提出し認定を受けることになります。たとえば新・内科専門医の場合は600床規模の病院を想定しているといわれています。
医学生は初期研修から専門医取得までを念頭に入れた研修先を選びます。民医連がこれに応えられる研修病院づくりをしないと研修医の受け入れは困難になります。
現在、民医連は新専門医制度への対応を進めています。同時にこの制度が国の低医療費政策の下、研修病院の指定や研修医の受入れ定数の削減に使われ、地域医療が崩壊することのないよう注意が必要です。
(長野中央病院医局事務・蟹澤 智)
長野県連 ぐるっと事業所めぐり20
つるがリハビリセンター・短時間デイサービスムーヴは、半日の短い時間の中で運動メニューを提供する事業所です。
運動内容は、筋力強化を目的とした8種類のマシントレーニング、天井から吊った赤いコードを使用し筋力・バランス強化を目的としたレッドコード、それに加えトレッドミル・自転車エルゴ・各種体操を行っています。3か月に一回、筋力・体力を測定し、理学療法士が専門的なアドバイスを行います。
利用者さんの「今よりも、もっとよくなりたい」という気持ちに応えられるよう、多職種が連携して運動メニューを立案し、サービス提供を行っています。
(生活相談員・酒井 英伸)
- 所在地
- 〒380-0811 長野市大字鶴賀東鶴賀町1906
- 連絡先
- TEL.0268-22-3248
Fax.0268-75-2590
- 事業内容
- 小規模通所介護事業所・月~金・定員19人
松本協立病院・医師
冨田 礼花
子ども達や、子を持つ親達に核兵器の悲惨さを伝えたい。何も出来ないと考えず、少しでも希望があるという事を伝え一緒に考えたい。世界中のアピール方法を学びたい。
老健はびろの里・介護福祉士
山本 真吾
皆さん、こんにちは!人生初の海外で、こんな大舞台と実のある運動に参加させていただくことができ、とても光栄に思っています!どうぞよろしくお願いいたします!
健和会病院・事務
服部 勇太
今年で広島、長崎の被爆から70年が経ちますが、核兵器が存在している限りその恐怖がなくなることはないと思います。核兵器のない安心できる世の中の実現のために精一杯取り組んできます!
NPT再検討会議にアピール!! ニューヨーク行動に7人が参加します
4月25日〜5月1日、ニューヨークの国連本部で5年に1度の「核兵器不拡散条約」(NPT)再検討会議が開かれます。期間中には、各国代表や国際世論に反核兵器をアピールする大規模な集会やパレードなどのニューヨーク行動が行われ、長野県連からは7人が参加します。4万6000筆の「核兵器全面禁止のアピール」署名をやりきり、代表団に託しましょう。6人のみなさんに決意を寄せてもらいました。
老健すずかぜ・介護福祉士
岩下 功一
大変な状況が続く福島の事を伝えること、核は人の手には負えないことを考えて欲しいこと、未来のためにも核を少しでも早く廃棄することを伝えられればと思います。
長野中央病院・事務
出河 進
参加を機に学習を深め、核は無くせるし無くすためには署名などの草の根の運動・たたかいが重要だということを確信にし、拡げていきたいと思います。署名を1筆でも多く集めてニューヨークへ持って行きます。
長野医療生協・理事
小川 洋子
今年は被爆70年。世界には1万7000余の核兵器がありますが、185か国は「核兵器全面禁止」に賛成。平和を求める1人として、草の根の活動の担い手として行動していきたいと思います。