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後期研修について
はじめに
私たちは、県内各地で「いつでも、どこでも、だれでも平等に受けられる医療」をめざして、診療所・病院が開設してまいりました。
そして、1974年、「長野県民主医療機関連合会(長野県民医連)」を結成しました。身近な第一線の医療機関として、地域の人々の声を大切にしてきました。訪問看護が必要な方がいれば、診療報酬で認められる以前から取り組むなど、切実に求められる医療を実践してきました。社会問題にもなっている差額ベッド代は、これまで一切徴収していません。それは、お金のあるなしで医療に差別を持ち込まない。何より患者様のいのちを優先して考えています。病気や障害をもつ人々の苦しみや生き方に共感し、学び成長する専門職の育成をすすめてまいりました。
私たちは、「いつでもどこでも誰もが」安心できる良い医療と福祉の実現をめざす後継者を育成していきたいと考えています。
長野県民医連は、長野中央病院、松本協立病院、健和会病院など6病院、11診療所を有する連合体です。総ベッド数1020床、1日の平均外来患者数は約2700人に達し、年間の救急車搬送台数は3000台にも達しています。
長野県民医連では、2004年に医師臨床研修制度が必修化される以前から、現在まで83人の初期研修を受け入れ73人が修了しています。また、63人の医師が後期研修を開始し、そして55人が長野県民医連内の病院・診療所で研修を継続し、現在も地域での医療を担っています。初期研修が修了する研修医のみなさんに、広くプログラムへの参加を呼び掛けるものです。
1.医師研修の現状
2004年から臨床研修制度が必修化され、基本的臨床能力の取得や、プライマリケアに重点をおいた新たなシステムがスタートしました。これにより今まで大学病院を中心に行われていた研修から、市中の臨床研修指定病院を主軸にした研修に大きく変化しました。これは初期研修の期間は2年間であり、本当に優れた臨床能力を身につけるためには、不十分なものと言えるでしょう。また2年間は国の政策で身分や経済条件が一定保障されましたが、3年目以降については病院により対応がまちまちになっています。研修医のみなさんもそれらの点に大きな「不安」を持っているのではないでしょうか。
2.研修の目的と保障
長野県民医連としての後期研修は、初期研修期間中に身につけた基本的臨床能力や、プライマリケアの視点を多いに発展させるとともに、専門性の獲得にも重点をおいた研修を目指しています。もちろん後期研修期間だけでなく、希望すればそれ以降の身分や経済条件は保障されます。
3.研修の特徴
後期研修に対する長野県民医連としての考え方や、特徴については次の通りです。
1.総合的なマネージメント能力を持った専門医の養成
後期研修はいよいよ自分の専門を決定し、研修をスタートさせる期間です。長野県民医連の各病院は、後期研修を受け入れる各専門科の臨床能力および患者数では県内有数の施設です。
しかし、専門医療に偏りすぎてもトータルとして患者の治療にあたることはできません。現在では専門科の中でも細分化しており、その周辺分野の研修は難しいのが現状です。初期研修で獲得した広い臨床能力をよりいっそうのばすとともに、全人的な医療の担い手として成長できるように研修を保障します。
2.100床規模の中規模病院、診療所での研修を位置付ける
後期研修は長野中央病院、松本協立病院、健和会病院のいずれかでスタートとしますが、原則として3年間のうちに一定期間100床前後の中規模病院や診療所での診療を経験することとします。これは[1]に述べた総合的な臨床能力の獲得のために、不可欠な要素だと考えています。
この研修はより地域に密着し、患者、市民の要求に根ざした研修を実現しやすいという特徴があります。また、専門分化する中で忘れがちな外来での研修や、在宅医療の実践などを体験することができます。
3.後期研修を長野県民医連すべての病院、診療所で保障する
後期研修の受け入れは各病院や各科まかせにせず、長野県民医連全体で受け入れることとします。これによりそれぞれの病院での研修で足りない部分がある場合などに、他の病院も含め保障することが可能です。
後期研修の3年間で各科の基本的な専門医、認定医の取得を目指しますが、これも足りない部分は県連全体で補いたいと考えています。
4.フレキシブルな研修プログラム
研修プログラムは各科でのスケジュールを基本に、研修医の希望に添う形で変更が可能です。例えば内科系をもう一度ローテートしたいとか、一般外科研修の中で整形外科や心臓血管外科研修を行いたいなどの希望にも応えることができます。
また、シニアレジデントとして初期研修医の教育に一定取り組んでいただきます。さらに、後期研修終了後、1年間を基本に県連外の病院施設での専門研修(出向研修)が可能です。
4.プログラム参加施設、管理、募集定員
1.参加施設
長野中央病院 | 長野市 | 322床 |
---|---|---|
松本協立病院 | 松本市 | 199床 |
健和会病院 | 飯田市 | 199床 |
諏訪共立病院 | 下諏訪町 | 110床 |
塩尻協立病院 | 塩尻市 | 99床 |
上伊那生協病院 | 箕輪町 | 164床 |
上田生協診療所 | 上田市 | 19床 |
南長池診療所 | 長野市 | |
稲里生協クリニック | 長野市 | |
川西生協診療所 | 上田市 | |
さかき生協診療所 | 坂城町 | |
山形協立診療所 | 山形村 | |
つるみね共立診療所 | 岡谷市 | |
生協診療所いいじま | 飯島町 | |
かやの木診療所 | 飯田市 | |
健和会飯田中央診療所 | 飯田市 | |
老健ふるさと | 長野市 | 100床 |
老健あずみの里 | 豊科町 | 100床 |
老健はびろの里 | 伊那市 | 100床 |
老健はやしの杜 | 豊丘村 | 100床 |
2.管理運営体制
プログラム管理者は長野県民医連医師委員会で、責任者は医師委員長とする。実際の研修の管理運営については長野県民医連研修委員会が行い、研修内容調整などを行う。身分、処遇、長野県民医連以外の研修に関しては長野県民医連理事会で決定する。
3.募集プログラムおよび定員
内科系 | 総合診療科 |
---|---|
呼吸器内科 | |
消化器内科 | |
糖尿、腎、透析、代謝内分泌 | |
循環器内科 | |
リハビリテーション科 | |
外科系 | 一般外科 |
整形外科 |
定員は各若干名
5.研修目標
1.GIO
総合的な医療活動を担える力量を身につけていく。その中で一定の専門性獲得を目指していく。条件があれば、専門医、認定医の取得をめざす。
2.SBOs
- 日常的に遭遇する疾患(Common disease)に対する標準的診断、治療法を身につけていく。
- 民主的医療チームを構築していく中で、チームリーダーとしての力を身につけていく。
- 疾患を医学的に正しく捉えられ、診断・治療のみならず、患者を全人間的・総合的に捉えることができる。
- 医療情勢を正しくとらえ、患者の人権を守るための運動や医療変革の運動に取り組むことができる。
- 民医連運動を担う後継者を育てることができる。
- 県連的視野で活動することができる。医療職としてのマナーや倫理観を身につける。
6.指導体制
各科の体制上の制約もあるが、病棟、外来などいずれにも担当指導医が配置されている。
また自身についても初期研修医を指導する立場である。
7.研修評価
研修評価については直接的または間接的に行っていくために、研修開始後定期的に評価会議を開催し、研修内容の評価、調整、修正を行う。技術的な評価は指導医より日常的に行われる。また研修指導のあり方についても評価し、指導力量の向上をはかる。
8.研修調整機関
研修の円滑な遂行と目的達成のためには、研修自身の主体的な取り組みと、これを支える病院側の協力と支援が必要である。後期研修医については以下の機関により調整がはかられる。
- 県連研修委員会
- 法人研修委員会
- 各科部会
9.修了認定
プログラム修了時、研修委員会は各研修医から研修目標達成時の自己申告を受け、委員会内での討議の後、目標達成を認定した研修医に対し、プログラムを修了した事を記した「修了証書」を発行し授与する。
10.修了後の進路
後期研修を修了した医師は、医師委員長またはその代表者が面談の後、県連医師委員会・県連理事会にて承認・確認に基づき、長野県民医連所属の医療機関に常勤医師として診療に従事することができる。
11.身分・処遇
- 身分:常勤医
- 給与(月額・実績):
・後期1年次(卒後3年目) 410,000円
・後期2年次(卒後4年目) 435,000円
・後期3年次(卒後5年目) 460,000円 - 賞与:年2回
- 諸手当:臨床手当17,000~31,000円、研究手当30,000円、他
- 休日:4週7休制度(一部6休ないしは8休の法人有)。夏季休暇、年末年始休暇、有給休暇。
- 健康保険:有り
- 宿舎:あり(または住宅手当支給)
各診療科後期研修プログラム
各施設ごとの研修概要
研修施設
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